ずっとずっと遠い場所から、忘れかけていた笑いの声が、時々電波が途切れるラジオのように聞こえる。
子どもの頃は毎日テレビにかじりついて見ていたであろうそれは、当時ほど現在では熱を持って見るほどではなくなって久しく、そんな時間を積んでしまった自分でさえ、儚く散った命に思いを馳せる。
なぜ今だったのだろう。
なぜ世界を狂わすものはやってきたのだろう。
姿も音も香りもないそれは、なぜ容易く人の中に潜み、息の根を止めようと身を隠すのか。
特別熱を持って見ていた訳ではないけれど、ずっとずっと遠い場所から、幼かった自分の熱狂した記憶の音が流れる。
その音は、とても儚く、寂しく聞こえる。
なんだかとても儚くて寂しい時間が流れている。