過去から時を旅する人がいるのなら、この竜宮城を思わせるような美しい造りの建物が時空の扉となって、過去の人々を導き、現代をどう見つめているのかを聴かせてほしい。

あなたならどんな道を選んで歩きますか。

人の心の在り方が大きく変化している現代に、遠い時代を生きる人々なら、何が見えるのか教えてほしいと考えながら歩く。美しいものを造り、伝える力は、どうやって培われてきたのか。今の時代の自分たちの未来が、過去の人々の目には映って見えているのか。

わたしたちは何を失ってしまったのだろう。

どんな人がこの場所に生き、この景色を眺めたのか。歩いていると、現代の人々がいつの間にか900年前の装束を纏った人々に姿を変え、行き交っているような錯覚と、そんな空想の世界を目にしたかのようで、時を旅した気分になる。

平等院鳳凰堂。十円玉に刻まれているのと、鳳凰は一万円札にも印刷されている。

昔の時代の人々の、心の声にそっと耳を澄ましてみる。