てん てん てん。
猫の足跡。
この朱色の社殿に忍び込み、こっそり何かを企んでいる。
けれど、その痕跡を残したまま逃走。
もしもし、猫さん、悪だくみの証拠がここに残っているって気づいているのかな。遠くからこちらを睨みつける猫。思わずかわいらしい証拠に笑ってしまったけれど、真剣な眼差しで睨みつけてくる。次は痕跡消した方がいいかもね。
石川県金沢市。
尾崎神社(金沢東照宮)。
道路に面して中門があり、あまり距離なく社殿が建つ。とても小さな神社。けれど小さいなりにとても豪華な造りの神社。
加賀藩四代藩主前田光高が徳川家康を祀るために建立されたとされる。
とても豪華な装飾や、細やかな細工の社殿が、小さいのに美しく、時が経つのも忘れてしまう。緩やかにのどかに時間が流れる。あちこちに葵の御紋。曾孫のために家康がこの金沢を今も守り続けているのかもしれない。
その力、少しばかり自分にも分けてもらいたい。
もともとは金沢城北の丸にあったものを、明治に移設されたとのこと。
古き時代のものを、簡単に移設してしまうなんて、とても残念で仕方ない。
てん てん てん。
また会えるかな。