昨年は、思ってもいなかった災いに見舞われ、ほとんど年始から4月後半まで外出らしい外出をすることが出来なかった自分に、遠くへ住む友人から励ましの写真が送られてきた。

この写真は1年前のもの。

南信州のとある場所に咲く花桃と呼ばれる花。桜ではありません。桜と違って、とても鮮やかな色彩を持つ花のようで、かなりの本数が植えられている場所があるのだそう。南信州には何度か訪れたことがあり、豊かな自然が美しい地域。どうして行きたくなるようなものを送ってくるのかと思ったけれど、息が詰まりそうになっている自分を少しでも楽しませようとの心遣い。感謝しなければなと思う。

この花桃、4月中旬から咲き始めるらしい。

いつか一緒に見に行こう。

3月も中旬に入り、もう桜の開花予報の季節となっていることに、閉じこもり中の自分は驚いているけれど、確かに気温も暖かくなっていて、春は近づいている。

先日、ある会社の社長とお話させてもらう機会があって、その会社の社名の由来などを聞いた。『芽吹く』と言う意味と、ご自分のお父様の名前から決められたそうだ。お父様のことが大好きなのだとお話されていた。

誰でも、大切に思うものや人、時間がある。忘れてはならない気持ちや思いを何かで残すことが出来るなら、それは凄いことではないかと思う。時間は残酷で、記憶はどんどん風化してしまう。覚えていると思っていることも、時間と共に間違った記憶と入れ替わってしまうことがある。どうして正確に、覚えていることが出来ないのだろうと思うけれど、大切にしている記憶の一部が、薄れていてはっきりと思い出せなくなっている。

ずっと覚えていたいのに。

そんな時、何かに刻んでおくことが出来た大切なものは、そのままずっと形として残っていく。だから思った。

素敵なことだなと。

大切なものを忘れてしまわないよう、自分も何かに刻んで歩いていこうと思う。